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一難去らずに、また一難(2006/06/28)
お店とは関係のないことで大きな不幸があり、気分がどっぷり沈んでいたところに、折り重なるようにして、以前からずっと私とChoriのアタマを悩ませていた「雨漏り問題」が再発し(何度も何度も修繕しているのにその結果がこれ)、さらには今日、とうとう「悪魔の使い」がやって来てしまいました。

「悪魔の使い」とは確かに、ちょっと行き過ぎた感のある表現だとは思うが、この土地柄と、「余所者」であるという私の立場、さらにはMotiのようにまだまだ微弱なお店にとっては、それはとても脅威的な存在であることに変わりはないのである。

それはいつものように、一通り店内と商品のチェックを終え、スタッフのアディに別れを告げてお店のすぐ脇にとめて置いたバイクにまたがった瞬間の出来事であった。

前方からやって来た、十代くらいの女性が運転するバイクが私の隣に横付けしたのである。
よく見ると後ろには小さなお婆さんを乗せており、私はたまに現地のバリ人やらネパール人に(タイ人に間違えられたこともあり)間違えられることがあったので「もしや、道でも尋ねられるのでは?」と内心身構えていた。

お婆さんはそんな私の心配などよそに、わざわざバイクから降りて、そして次の瞬間にはとてもそんなこを告げるなどと予測できないほどのにこやかな笑顔を携えてこう言ったのである。

「このお店をレンタルしたい」

バリバリのインドネシア語である。

しかし、幸いなことにとでも言うべきか、偶然にも、私はそのすべての単語を理解していたため、この場の状況を瞬時に理解することが出来てしまった。

これは「宣戦布告」である。




私は愕然とした。

「やだわ、お婆さんったら。このお店はわたくしどもがレンタルしておりますのよ。お金もすべて支払い済みですの。ブログにだって公開していないけど、契約した後もゴタゴタがあって、それはそれは大変な思いをしてここまでこぎつけたんですのよ。そこを強引に割って入ろうだなんて、ずうずうしいにもほどがあるってものですわ。おほほほほほ」

実のところ、内心ではもっと毒々しい言葉を吐いていたのだが、あえてそれは活字にしないこととする。

とにもかくにも動揺した私は、あっけに取られて呆然とする私のことなどお構いなしに「このお店をレンタルしたい」ということをひたすら何度も主張し続けるお婆さんを前に、「私はインドネシア語がわからないので、そのようなことを言われても困ります」といったことを伝えるのが精一杯だった。

するとチャレンジャー婆さんはやがて諦め、しかしながら、諦めたのはあくまでも「言葉の通じない日本人を相手に会話を続けること」であって、お店の乗っ取りは諦めきれないらしく、「とにかく交渉してみる」という再度の宣戦布告を言い渡し、力強い足取りで去って行ったのであった。

置き去りにされた私はといえば、「いやぁー、バリの婆さんはたくましいなぁ」などと呑気に感心する余裕などまったくなく、その場でバリ人のマネージャーに連絡を取ったことは言うまでもない。

この私の反応は決して過敏なものではなく、「土地」に関わる、とくにそこに外国人が絡んだ場合のトラブルは後を絶たない。

それはこの場合のように、「増築もして、以前よりだいぶ店舗が良くなったなぁ」などと目をつけて、レンタル中にも関わらず勝手に地主と交渉を始めてしまったり(契約期間満了後の話ではないところが厄介。最悪「強制退去」)、契約条件の隙間をついてさらなる高額料金を要求したり、お金そのものを騙し取ったり、「土地を借りる」もしくは「買う」側からしてみたら、それはそれはフェアではないトラブルが頻繁に発生しているのである。

私は「契約書の内容に盲点をつかれるような不備はないか?」とマネージャーに確認を取り、このような不吉な話を報告したときでさえ「そんなことがあったんだぁ。あはははは」と呑気な調子のスタッフに、「怪しい婆さんを見かけたら私かマネージャーにすぐに通報すること」と言い、店を後にした。

外からただ眺めている分には、契約期間中にも関わらず横取りしたくなるほど「良質物件」に見えるのかもしれない。

だが実際の内情は、日々広がる雨漏りに頭を悩まされ、ほぼ一日中差し込む強い日差しに対処できる商品陳列を模索しなければならないなど、次から次へと出される課題に四苦八苦している状態である。

それに加え、問題はひとつもクリアできていないというのに、今後「強敵」になる恐れのある地元民の出現である。

自然災害に、人災。

ひとまず、今回の滞在期間も残すところあとわずかである。
その間、私はこれらの「夏休みの宿題」を、少しずつこなしていかなければいけない。
やがてやってくる、提出期限日までには、必ず、である。

肌をじりじりと、痛めつけるような熱を帯びた攻撃的な乾季は、まだ始まったばかりである。
by msmoti | 2006-07-05 21:02 | by ご主人さま
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