数ヶ月前、Choriが六時間も放置されることとなった悲劇の場所。
閑散としたネパールの国際空港内の写真である。
一見ただの「売店のようにも思えるが、れっきとした「デューティーフリーショップ」である→
六時間も待たされて、よっぽど退屈だったのだろう。
Choriがネパールで撮影した数々の写真が収められたロムから、この哀愁すら感じられる一枚は見つかった。
ところで。
ネパールの空港では、搭乗前に手荷物のチェックが入る。
それはかなり念入りで、中身の物はすべて開けさせられ、細部に至るまでチェックをされる。
安全上のことを考えたら、それは当然のことなのだが、とにかく時間がかかって仕方がない。
なので、手荷物にはなるべく余計な物を入れないようにしていたのだが、それでも一度だけ、「没収」されたものがある。
それは、
「唐辛子パウダー」である。
私は「いつか」ネパリーの主食である「ダルバート」と呼ばれるカレーを自宅で作ろうと、カレーパウダーをはじめとする数種類の香辛料を買い込んでいた。
残念なことに、肝心な作り方を学んでいなかった為、その「いつか」は今に至るまでやってきていないのが現状である。
なにはともあれ、無知な私は「なんでこれが没収されないといけないのっ!?」と、係員に対して威勢よく食ってかかった。
理由はこうである。
「これは立派な“目潰し”という武器になる」
まっ、まぁ、納得。
だけどなんだか腑に落ちない。
「そんな風に斬新な使い方はしないので返してください」とにこやかにお願いするも、係員は「ダメ」の一点張り。
いいじゃん、いいじゃん、かえしてよぉ~。
と、ダダをこねる。
その横で、唐辛子そのものを没収されたネパリーが出現。
それも、たったの一本。
行き場を失い、机に置き去りにされた真っ赤な唐辛子を見て、私は奪回を諦めた。
そしてこのたび、歯磨き粉でつかまったChori。
彼女は「係員に歯磨き粉を没収されそうになったんだけど、“これはもう中身がないので見逃してください”と懇願して勘弁してもらえた」と、武勇伝のように語っていた。
中身がないなら必要ないじゃん。
そんな突込みをされなかったのが不思議である。